2018/01/18

建築雑記

































クライアントとの往復書簡




差出人: 宇野友明 <arch-uno@muj.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2018年1月OO日 9:29
宛先: 施主
件名: 見積のこと


施主さま

おはようございます。
ご理解感謝申し上げます。
私の設計の場合、なかなか説明しにくい部分が特に最終段階で出てきます。
見積が決定する段階でその家の完成度の70%くらいは決まってしまいます。
その段階で私自身の完璧主義がかなり頭をもたげて来てしまいます。

明らかに機能や商品などのクライアントにも説明しやすい部分であるならばまだ説明も出来ますが、ちょっとしたディティールの手間や材料の質などは機能と関係ない部分がほとんどです。直接機能が伴わない分、その価値や意味をクライアントに説明するのはかなり難しいです。しかし、絶対に後悔しないためにも、この段階の再検討が最も大切なことは私自身が痛感しています。


最終段階は、クライアントにとっても後戻りが出来ない段階なので、機能や機器などの要望が増えてきます。
私の方でも私にしか分からないようなディティールなどの再検証をしています。
機能と直接関係のない私のこだわりは、この数百円単位の見積調整をしている段階でご理解いただくのは難しいです。
したがって、毎回どうしてもその部分は自腹を切ることになります。
その部分はほとんどが私の個人的な矜持の問題なので、いつもはあまり説明せずにきました。
しかし、今回は 施主さんのご自宅に対する強い熱意にお応えする形で、
本意ではありませんでしたが、私が負担させていただい部分について少し説明せさせていただきました。
実はそのこだわりは、現場が始まっても毎回出てしまい設計と違うことはよくあります。
明らかに機能が異なる場合は確認をさせていただきますが、そうでない場合は独断でさせていただきます。
その点はご理解ください。
もちろん私のみの都合で変更した場合の追加などは一切ありませんのでご安心ください。


本当の満足は住んでからです。
ご期待を裏切らないようによりいっそう完璧をめざして現場に入りたいと思います。
よろしくお願いします。

天窓ですが、ハニカムで承りました。
またガラスですが、磨りガラスにする塗料なども市販されています。
私の2、3度使ったことがあります。
自分でも出来ますし、やり直しも出来るので将来必要を感じたらまたご相談ください。



宇野友明建築事務所  宇野友明
〒 464-0032 名古屋市千種区猫洞通1-13
TEL 052-783-1213   FAX 052-783-1265

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2018/01/OO  21:39、 施主のメール:
宇野 様

本意に反して矜持の部分を、誤解を受けることなく文章で説明することは骨が折れる作業であったと思います。

また、宇野さんがおっしゃるとおり、本当に最終段階では、いろいろな思いが錯綜し、要望という形でかなりご負担をかけてしまい恐縮しております。

しかし、設計の最終段階に入ってからの緻密なやり取り、特に仕上げや予算調整の緊張感のあるやり取り、これらをふまえての矜持の部分の説明、こういった真摯なコミュニケーションの積み上げを経て、私の宇野さんに対する信頼は強固なものとなりました。

例えば、最初に会った時に宇野さんが、これが私の方針ですと言って矜持の部分をもし説明されていたら、このような信頼は気付けなかったと思います。むやみに本音トークをすればいいというわけではないのです。

漠然とした頭の中もかなりクリアになってきました。
建物も厳しいコスト意識のもと様々な案が研ぎ澄まされて、洗練されたものになってきました。

これからこれを形にする作業も、さらに大変だとは思います。
あえてここでは、完璧な家を造ってくださいとは言いません。
宇野さんが、現場で悩み、もがき苦しんで造った家に私は住みたいです。


施主


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