2016/05/09

ぜんぶ手でつくる 33






重練られたディティール








ディティールは、小説家が言葉を紡ぎ出すように建築家が形に心を乗せていく神様が与えてくれた箱舟だ。

職人が作り始める瞬間までディティールを考える。すでにその段階で当初の案からは相当数描き直しているにもかかわらず。30年以上のキャリアがあっても、それを合理的に済ますことができない。ただ最近はどうやらそれには意味があることに気付いてきた。

ボクはコンセプトを考えるタイプではない。諸条件を元にその時に作りたいもの、浮かび上がったものを衝動的に案にしている。だから、とても感情的、情動的なものになりがちだ。当然、同時に生み出るディティールもそれなりになってしまう。いわゆる波でいうと荒波状態。それを人が乗れる波になるまでにはかなりの時間と思案が必要。


変更といっても刷新する訳ではない。以前の思いを残しながらその時の思いを重ねていく。重ねられた波模様は多分に偶然性を帯びる。それを数回繰り返すことで荒波だったものが小波になり、さざ波に変わっていく。最終的には当初の案からは想像出来ないような波模様となる。

それはボク自身も意図出来ない感情のゆらぎでもあり、情緒でもある。最近はそれこそがボクのオリジナリティーではないかと考えるようになった。

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