2016/02/04

ぜんぶ手でつくる 25



「もの」を売る


私の最近の悩みは、各住宅ごとにオリジナルで作っているハンドルや照明器具などの購入や商談の問合せだ。数年前から月に数回、ここ最近は毎週のように世界のいたるところから来る。ただ不思議なことに国内からの問合せはなかったように思う。やはり建築と同じように国内ではいまいち受けないということらしい。今回はこのことについてではなく、ものを売るという行為から仕事について少し考えてみようと思う。

結論を先に言うと「もの」を売るだけの依頼は今のところ全て断っている。理由は簡単だ。私が作ってきた金物たちはその家、そのクライアントのためだけに作ったものだから。どうしてもクライアントが分からないままに「もの」と「お金」の交換だけで済ますことが出来ないでいる。

その昔縄文の頃、経済活動の原則は贈与を前提とした物々交換だった。そういった経済活動を可能にしたのは、互いを認め受け入れるという心の交換があったからだ。しかし、お金という魔法を手に入れた私たちは、等価交換という原理の元に心の交換をせずとも、お金さえあれば何でも手に入るようになってしまった。そういった希薄な関係性から相手を思いやる機会もなく、相手への無関心が連鎖する。今社会に起こっている様々な不幸は、このような心の交換の不在が原因だと思う。

私自身はもっともっと縄文の人となって心を交換できる人になりたい。でも時々、今まで断らずに全て商売にしていたら、「今頃フェラーリに乗っていたかなあ」と夢想する平成の人が顔をのぞかせる。笑

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