2015/11/20

ぜんぶ手でつくる 23






ディティール・プレゼ・人間力







私の仕事の大半は 「ディティール」 を考えることだ。「ディティール」 は最もプリミティブな仕事だ。漠然とプランが見え出した頃から始まる 「ディティール」 の模索は、メトロノームのように揺れるボクの感情と共に次第にその振幅を縮めていく。そして、職人が作り始める瞬間にそれは止まる。生まれるものはひとつだが、その上には幾重にも思考や感情が積み重なっている。実物でしか感じられない「何か」は、その見えない思考や感情の積み重なりに思える。


最近の建築に物足りなさは、この「何か」が感じられないからだ。外観や内観にしか関心を向けず模型での検討に時間を費やす。模型は模型でしかない。スチレンボードは何も語らないし、全てが縮小されたイミテーションだ。それを信じて建築を作ってはいけない。

素材に対する感情、そして、それを生かす寸法は自らの感覚を信じるしかない。模型を信じて思考を停止してしまうと、現場では模型で検討したものの確認作業に終ってしまう。建築家は大きな模型を作っているのではない。子供が育ち、人が生活する建築というかけがえのない住まいを作っている。

これから建築を学ぶ人は決して模型に頼ってはいけない。模型はクライアント用の "プレゼ" 程度で十分だ。建築家は素材に恋し、素材を生かし、それを寸法で実現していく素材の良きパートナーであるべきだ。目に頼らず、「思い」を寸法に置き換える感覚を養いそれを形にする。そうすることで現場が確認する場所ではなくなり、自分の想像を超えた不思議な場所になる。確認作業の習慣をつけると設計に飽きてしまう。だから多くの建築家は、歳を経るごとに少しずつ設計から距離を置くようになる。

「思い」をクライアントに理解してもらうのは難しいことだ。それは学生の時にしつこく教えられたプレゼという
ビジュアルや言葉を使った騙しのテクニックが通用しないからだ。

頼りになるのは人間力。信頼関係が築ければクライアントの理解は格段に広がる。親の家を設計すると思えば プレゼやコンセプトが全く意味のないことだとすぐ分かる。信頼がない段階でプレゼ などを駆使し理解を得ようとするから、クライアントは自分が理解できるものしか認めようとしない。スペシャリストの仕事はし辛くなり、やり甲斐や面白みも少なくなる。


結局、建築は建築家の人間力によるところが大きい。







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