2015/10/26

ぜんぶ手でつくる 22



Face to Face







今回のマンション杭工事の問題は、その他の分野で起こっている問題と同様、需要者と供給者の距離が原因ではないだろうか。供給者は直接肉親が関係していれば絶対にしないようなことをしている。マスプロダクトになると供給者は需要者をイメージし辛くなり関心も薄くなる。

これを法律で埋めることにはすでに限界がきている。「衣」や「食」でも同じようにマスプロダクトを求める場合は、このようなリスクを想定しておかなければならない。

個人がこのリスクを減らす方法は、供給者との距離を縮めることだ。所属が企業であろうと直接対応するのは個人である。その個人との信頼関係如何では、ある程度リスクを減らすことが出来る。しかし、所属する企業が大きくなればなるほど把握できる範囲も責任も限定的になる。


「Face to Face」。

とにかく距離を縮めることだ。自分の生活、人生を守ることは自分ひとりでは出来ない。最終的には信頼できる人たちを自分の廻りに集めるしかない。とにかくシンプルな人間関係を築くことだ。知らない誰かが作ったブランドを安易に信頼することにもかなりのリスクがあることを知っておく必要がある。



2015/10/07

家づくりにはアメニティープランナー(私の造語)が必要!



これだけ社会の変化が激しく、情報が氾濫していると建築士ひとりではなかなか専門性を保てなくなってきました。

例えば数年前からは住宅ローンや保険に関しては、ファイナンシャルプランナーの春田さんを紹介し、それぞれの家族のライフプランを提案、助言をして頂いています。借入金額や期間にもよりますが、彼の提案する金利だけでもトータルで数百万円節約できることはよくあります。

実際、先日も地震、火災保険も彼のアドバイスで簡単に50万円ほど節約することができました。

いまや住宅ローンや保険などは全て大企業の商品です。だからその内容は大変複雑で素人には何が自分に適切なものか全く分かりません。今や建築士の能力だけでは最も大切なお金の部分で適切なアドバイスが出来ないのです。

事実、私自身の住宅ローンも彼のアドバイスにより借り換えで100万円節約できたくらいですから。

今私自身は、お金や保険に関してベストなものをクライアントに提供できているという自負はあります。が、しかし、ここ数年、別の問題でクライアントを悩ませています。

それは、テレビやブルーレイ、インターネット、セキュリティーなど通信分野に関することです。これらは今スマホとも連携できるためにより複雑になっています。この分野は特に進歩が激しく完成時にはすでに古いインフラになっています。これは建築士として恥ずかしいことです。

これらを熟知して適切なアドバイスをするには専門家が必要です。しかし、今、日本にはそういう専門家はいません。設計の段階から参加し、クライアントのライフスタイルに合わせて提案し予算を決める。それを設計に組み込み、随時新しいものが出れば施工中であっても更新し、クウォリティを上げていく。こういったプロフェッショナルが必要な時代になっています。

以前は町の電気屋さんがやっていたことですが、すでに家電の範囲をはるかに超えています。今こそ町の電気屋さんは家電のみの販売だけに留まるのではなく、アメニティープランナーとして積極的に家づくりに参加してほしいと思います。

誰かやってみようと思う人いないでしょうか?










2015/10/02

ぜんぶ手でつくる  21



標準化





内藤廣さんのエッセイを引用した伊礼さんの直近のブログ「設計の標準化」という記事を読んで思うところがあった。。


私はむしろ標準化を避けて来た。それはその目的が効率性、経済性以外に感じられなかったからだ。これは企業が得意とすることで、むしろ我々個人の建築士がやらねばならないことはこの逆ではないか。


2つとして同じ条件のない我々の仕事は、それ故にその住宅のためだけにできる仕事がたくさんある。それがまたやり甲斐にもなり面白みでもある。


施主家族の顔を思い出しながら思いを込めて詳細を決めていく。毎回新しいものを生み出し続ける職人たちの期待と歓び。表面には出難いこういう”人の思い”も建築にとっては大切なことだと思う。


標準化はそれと逆行するように思えてならない。ましてや個人の建築士が力を入れるべきことではない。住宅を設計するということは、その家族のために最善の提案をすべきだ。標準化は決して最善の提案ではない。


ハウスメーカーや工務店、一部の施主のために標準化も必要なことだとは思うが、多くの建築士がそれを目指したら、建築士の価値は下がり職人も育たなくなる。何よりも建築を作ることに魅力が無くなってしまう。


そのために私は出来るかぎり既製品を使わずにそれぞれの施主のためだけに毎回デザインをし、手でつくることを心掛けてきた。


建築は私と職人たちの心を込めた贈り物だから。