2015/08/11

ぜんぶ手でつくる 10


私が施工をするようになった理由





私が本格的に建設業の許可を取得し、工事を請負うようになったのは平成15年からでした。当初は普通に工務店に依頼していました。しかし、すぐに限界を感じました。それは現場の職人と本音の打合せができないことでした。職人の発する言葉が工務店の意向に添わなかったり、直接工務店に不利益を及ぼすこともありえるからです。

クライアントとの信頼関係をどんなに大切にしても、職人との信頼関係がなければ台無しになってしまうことは自明でありました。前例のない私の仕事は、責任の所在を明確にしなければクライアントからの信頼も得られなかったのです。


当然、工務店も前例のないものは避けようとするし、ごり押ししても結局は誰も得をしません。それから工務店に依頼せずに直接職人に依頼する分離発注をしました。しかし、これも責任の所在がわかり難いという点であまり長続きはしませんでした。


もうこれ以上逃げられないことは自分でも分かっていました。自ら工務店となって自分が設計したものは自分で作るということに腹をくくったのです。もう誰のせいにも出来なくなりました。

しかし、このことは当初私が想像していた以上のことを私にもたらしてくれました。あらゆるリスクは自分が背負わなくてはいけなくなったので、今まで以上により深く広く建築のことを知る必要に迫られたのです。予算のこと、工期のこと、施工のこと、納まりのこと、図面の書き方、職人のこと、メンテナンスのこと。これらはすべて関連していて、ひとつでも劣っていれば堤防が決壊するようにプロジェクト全体に影響します。


恥ずかしながら40歳になる少し前から座学では分からない建築を1から勉強し直しました。そうしてもうすでに13年になりますが、この歳になって建築のことが最近少し分かるようになってきた気がします。自分が作りたいと思うものを予算、工期、施工、機能、メンテナンスのことなど過不足なく自由に考えられるようになりました。以前のような思ったようにできないのではないかという不安は無くなりました。


ただ今は自分ができる範囲のものしか考えられなくなるのではないかという不安はあります。今後は好奇心と持って生まれた乏しい才能に期待するしかありません。(哀)






















事務所を初めて今年で25年になります。

初めの10年ほどは設計の仕事はほとんど無く建売り住宅の図面などを描く下請の仕事がほとんどでした。

それでもそういう私たち夫婦を見かねてか親戚や友人からの紹介や依頼が稀にありました。

でもそんな貴重でありがたい厚意も私がやらない方がいいと思えば

自分の生活も省みず他人に紹介したりもしていました。

結局、私の仕事を評価して依頼を頂いたのは開設後12年近く経ってからでした。

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