2015/08/18

ぜんぶ手でつくる 13



志を合わせること



最近話題に上っているデザイナーの問題は無関心ではいられない問題です。今回の問題は真似したかどうかという問題もさることながら、佐野さんがアシスタントの作品をチェックしたかどうかも問題になっています。

そこで私は、
「エッ!ちょっと待って。その前に佐野さんが作ったんじゃないの?。」
「いつからアシスタントが作るということが当然のようになってるの?。」
「クライアントは知っているの?。」

私たちの業界でも多くの著名な建築家も同じような仕事の仕方なので以前はこんな疑問をいつも抱えていました。でも、考えてみたらそんなことはどうでも良いことで他人がとやかく言うことではないのです。依頼する側と依頼される側の目的と志が一致していればいいのです。でも、それらを一致させることがクリエイティブ仕事よりもずっと難しかったりします。とにかく自分をよく知り、かつ強い信念を持たないとかなり難しいことです。仕事のトラブルの原因の多くは、この部分の擦り合わせを疎かにして結果だけを早急に求めるために起こることが多いと思います。

クライアントが企業である場合は、目的がハッキリしていることが多く、私たち個人事務所のそれとが一致しないことも往々にしてあります。例えば私の場合であれば、効率だけを目的とした工場や流行の派手な店舗デザインは私がやるべき仕事ではありませんし、私が得意とするところでもありません。また、それはクライアントに対しても自分自身に対しても誠実な態度ではありません。この選択を誤ると仕事の内容が思っても見ない方向へと進み後戻りできなくなってしまいます。次第に仕事の目的が経済的な方向に進み、本来のクリエイティブな仕事が少なくなり、関心も薄くなってきます。そして、仕事の詳細についての理解や認識が甘くなり今回の佐野さんのような問題を引き起こす可能性も高くなります。

とにかく大切なことは自分をよく知ることです。好きなこと、得意なこと、そしてそれらを成し遂げる能力。それらを充分に理解した上で仕事に関る全ての人たちと目的や志を積極的に共有することです。そして、それらを仕事の基礎としなければなりません。もし、それらがなければその仕事は砂の上に建つ楼閣のようなものです。

私は仕事を選びません。但しこの基礎が作れるかどうかです。私の仕事に住宅が多いのはこの基礎が作りやすいからです。



0 件のコメント:

コメントを投稿