2015/08/11

ぜんぶ手でつくる 11




やる気スイッチ




職人と仕事をして最も難しいことは責任を持たせることです。前例にない私の仕事は特に職人にも相応の自覚を求めます。もちろん言葉で伝えて生まれるほど容易いものでもなく、かといって金銭の問題でもありません。

現場はチームワークです。ひとり無責任な職人がいることでそれが伝染し現場が荒れます。もちろんそういう職人と仕事をしなければいいのですが、腕の善し悪しには差があるものの気持ちの問題は、往々にして設計士や工務店の方に問題があることがい多いのです。したがって、腕のいい職人も現場の状況如何では期待以上にもなるし、以下にもなります。

当初は熱意さえあればと思い現場でいっしょになって働き、態度と言葉で責任感を持たせようとしました。しかし、私が現場で働けば働くほど職人は私に頼り自分で考えて仕事をしなくなりました。それで少し現場から距離を置きました。するとやり直しが増える一方でした。そして、すべての試みは失敗に終りました。

そんな八方ふさがりの状況の時にふと目にした言葉が、

最も責任ある行動は、やりたいことをやることだ」  


これだと思いました。漠然とした思いが再確認でき、自信を持つことがでた瞬間でした。「相手に求めるのではなくてまず最初に自分が楽しむこと、ワクワクすることなんだ」と。それでダメならその時考えよっと開き直れました。


それ以降は相談を受けた時から「この仕事をどう楽しもうか」ということを最優先に考えるようにしました。もちろん楽しくない仕事も当然ありますが、楽しいことが待っていると思うとそういう仕事も自然と難なくこなすことができます。私が楽しむことでスタッフにも伝染し、いろいろなことが好循環し始めました。現場では職人からの提案も増え無駄のないコミュニケーションが円滑にできるようになりました。ただこれも楽しんでいれば言い訳ではなく、工期、予算、図面、施工などの問題をクリアしていることが前提になることを忘れてはいけません。

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