2013/02/02

「抽象」と「具体」


第4回「世界で通用するアート教育とは?」
講師:西沢立衛×名和晃平 http://www.ustream.tv/channel/nihonnobijutsukyoiku

西沢さんと僕を比較しては大変申し訳ないが、僕との違いがよくわかる部分があって面白かった。

そして、僕の足りない部分もよくわかった。

特に38分くらいのところ。

彼曰く
「建築家はまず始めに小さくして考える」
「俯瞰して考える」
「抽象的な過程で建築を考えていく」

そして、彼は
「建築家の多くがみんなやっている作業だ」

とも言っているが、

僕のアプローチは少し違う。

僕は「抽象」と「具体(現寸)」を4:6くらいで後者に軸足を置きながら同時に考えていると思う。

僕の建築が彼ほどラディカル(革新的、前衛的)ではないのは、

この最初のアプローチに決定的な違いがあるからだと思う。

この抽象と「具体の最初の軸足の置き方で出来るものはかなり違ってくる。

僕の好きな建築家を勝手に判断してみると

ル・コルビジェ        8:2
ルイス・バラガン       7:3
ピーター・ズントー      6:4
ピーター・マークリ      5:5
ヴァレリオ・オリジアティ   5:5
ミース・ファンデル・ローエ  4:6
ルイス・カーン        4:6
グレン・マーカット      3:7

今日本のトップアーキテクトのほとんどは、10:0 または 9:1 だと思う。

ちなみに住宅作家といわれる著明な日本人建築家は 3:7 〜 1:9 に入ると思う。



これは建築技術の向上と時代性が強く影響しているのだろう。

特に「具体」を必要としないコンペは「抽象」はその威力を発揮する。

日本人建築家が海外コンペで軒並み勝利を手にするのはこれが大きな理由になっている。

「抽象」がこれほど注目された時代は初めてだろう。

そういう意味で今世界の建築は、日本人トップアーキテクトが牽引していると言っていい。

これからは建築技術の向上とともにこの「抽象」と「具体」の時代が交互にやってくるのだろう。



ただ僕が今最も危惧するのは、「具体」のスキルが大変低下していること。

「抽象」は才能によるところが大きいが、「具体」は経験で補うことが出来る。

才能もないのに「具体」を疎かにしたら、建築家としては「死」を待つしかない。



20代は自らの才能に絶望した時代だった。

それを補うかのように30代、40代は経験を積み重ねた時代だった。

しかし、「抽象」を生み出す天賦の才能はいかんともしがたいが、

コルビジェのロンシャンのように傑作を夢見て今全力で生きている。





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